建物は古くなると、「建て替える」か「修復する」かという選択を迫られます。
ENTOTSUも同じでした。
傷んだトタンをすべて新しいものに取り替えれば、見た目はきれいになります。
工事としては、その方が効率もいいかもしれません。
でも、私はその方法を選びませんでした。
この建物には、製陶所として地域を支えてきた時間が刻まれています。
錆びたトタンも、歪んだ柱も、その時間を物語る大切な一部です。
だから今回の修復では、傷んだ部分をすべて隠すのではなく、破れた箇所にポリカーボネートを差し込み、これからも建物としての役割を果たせる状態に戻していく方法を選びました。
新品に戻すことが目的ではありません。
これからも使い続けられる状態にすること。
それが今回の修復です。
もちろん、この方法は手間がかかります。
一枚ずつ寸法を測り、一枚ずつ加工し、一枚ずつ差し込んでいく。
近道ではありません。
でも私は、ものづくりも建物も同じだと思っています。
壊して新しくすることより、残せるものを見極め、活かすことの方が難しい。
だからこそ、挑戦する価値があります。
ENTOTSUは、完成した施設をつくるプロジェクトではありません。
時間を重ねながら育っていく場所です。
この修復作業も、その歩みの一つとして記録しておきたいと思います。
