ENTOTSUのカウンターには、小さなたぬきがいます。
幸生窯・前川幸生さんの作品です。
ある日、お客様から声をかけられました。
「このたぬき、なんで徳利を持っているんですか?」
そう聞かれて、
「反対側を見ていただくと、通帳を持っています。『通い』って書いてあるでしょう。」
「あ、本当ですね!」
そんな会話になりました。
信楽で育った私にとって、たぬきが徳利や通帳を持っているのは、ごく当たり前の風景です。
でも、よく考えてみれば、その意味を知らない人の方が多いのかもしれません。
昔から信楽のたぬきには、「八相縁起」と呼ばれる八つの縁起物が込められています。
笠、笑顔、大きな目、徳利、通帳、大きなお腹…。
一つひとつに、「商売繁盛」や「人とのご縁」への願いが込められています。
最近は、若い人たちの間で信楽のたぬきが人気になっているそうです。
一周どころか、二周、三周回って、新鮮に映るのかもしれません。
私たちには当たり前だったものが、誰かにとっては新しい。
そんな発見があるのも、この場所の面白さです。
ENTOTSUでは、こうした何気ない会話も楽しみの一つ。
小さなたぬきが、今日もお客様との話のきっかけをつくってくれています。

